原題 | The Yardbirds |
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著者 | Peter Stanfield (Author) |
ページ数 | 296 |
分野 | 音楽 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2025/02/01 |
ISBN | 978-1836390770 |
本文 | エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと名だたるギタリストたちが在籍した英国のバンド、ヤードバーズの歴史を振り返る一冊。1963年の結成から、メンバーの脱退と加入を繰り返し、唯一残ったジミー・ペイジが新たなメンバーを集め、1968年にバンド名をレッド・ツェッペリンと改め、新たに活動を始めるまでを描いている。ビートルズの登場以降、1960年代英国においてロックがどのように進化し、若者文化に影響を与えたか、という時代背景を描きながら、同時代に活躍したザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、ピンク・フロイド等との比較を通じ、ヤードバーズの音楽的変遷に焦点を当てている。 本書は、著者が「スクラップ・ブック」とたとえるように、当時の英国の音楽雑誌や新聞等に掲載されたヤードバーズに関する記事から構築されている。結成直後から時代を先取りする音楽を世に出してきたヤードバーズだが、「彼らの音楽は本物のR&Bなのか、それともポップ・ミュージックなのか?」、「ザ・ローリング・ストーンズとどう違うのか?」、「ザ・フーとどう違うのか?」、「彼らの音楽はサイケデリックの草分けなのか?」といった疑問に応答する様々な記事を集め、彼らが目指していた音楽を浮き彫りにしようとする。記事には、メンバー本人たちやマネージャー、ファン、他のバンドのメンバー、さらに脱退後の元メンバーたちのインタビューも含まれる。それら様々な声を集めることで、バンド内で起こっていた挑戦や葛藤が多角的かつ客観的に捉えられる。R&B、サイケデリック、ハードロックと、常に時代を先取りする音楽に彼らを駆り立てたものは何だったのか。答えは著者が提示するのではなく、読者に委ねられている。 ヤードバーズに特化した日本語の書籍が少ない中、本書は日本のヤードバーズ・ファンのみならず、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、レッド・ツェッペリンのファンにとっても、彼らのキャリアの初期を知ることができ、広く英国ロックのファンにとっても、その草創期ムーブメントを理解できる貴重な一冊となることは間違いない。 |